ここでは、開発環境として必要な設定や、 ちょっとしたコツについて解説している。
Unix システムにおける標準のウィンドウ・システムである X Window System のセットアップを行う。
まず、マウスが接続されていることを確認し、root でログインして XF86Setup というツールを起動する。
XF86Setup による X-Window の設定
Press [Enter] to switch to graphics mode.
[Enter]を押すと、グラフィックスモードに変わって、 X-Window の設定ツール XF86Setup(日本語版)が起動される。
XF86Setup について
これ以降は日本語のヘルプを見ながら設定すれば大丈夫だとは思うが、 一応一連の作業について簡単に説明する。
注意:マウスの設定画面が終わるまでは、マウスに触れないほうが良い (マウスを誤認識してしまう可能性あり)。
[Enter]でヘルプ「XF86Setup について」を終了させる。マウス設定に関するヘルプが表示される。使用するキーは以下の通り。
以下のように設定する。
項目 | PS/2 | MouseSystems |
---|---|---|
種類 | PS/2 | MouseSystems |
デバイス名 | /dev/psaux | /dev/ttyS0 |
Emulate3buttons | 押す | 押さない |
この後 p で設定内容を反映させ、マウスを動かしてみて確認する。 万が一失敗したら[Alt]+Aで中断し、最初からやりなおす。
次に、[キーボード(K)]をクリックする。
[キーボード(K)]
次に、[カード(C)]をクリックする(多少時間がかかる)。
[カード(C)]
ハードウェアのマニュアル(オペレーションガイド)の 「付録A.ハードウェア仕様」の「表示装置」−「コントローラ」 に従って、適切なグラフィックカードを選択する。ところが、 一般的に各パソコンメーカーは詳細な仕様を公開していないので、 どれを選択してよいか困る場合がほとんどである。ここでは、 稼動実績がある組み合わせを示すので参考にして欲しい。
本体型番 | マニュアル記述 | 選択するカード |
---|---|---|
5133/DX | CL-GD5434 | Cirrus Logic GD543X |
5416/GA, 6433GE | ATI Mach 64(2MB DRAM) | ATI Mach64 |
GF | ATI 3D RAGE PRO TURBO | ATI Mach64 3D RAGE PRO |
次に、[ディスプレイ(D)]をクリックする。
[ディスプレイ(D)]
CRT のマニュアルを参照して、水平/垂直周波数を設定する。 以下は、GD2071 の例であるが、沖電気製のマルチシンク・モニタ であればこの値でよいと思われる。
入力エリアをクリックしてカーソルを移動し、値を直接入力する。
水平周波数 | 30-69 | 垂直周波数 | 50-160 |
次に、[解像度(M)]をクリックする。
[解像度(M)]
解像度 | [1024x768] | 色数 | 65536色 |
最後に[設定終了]をクリックする。 確認メッセージが表示されるので[完了]をクリックする。
X の起動確認
その後、設定した内容で X-Windows が起動する。
「おめでとうございます」が表示されたら、 [設定をファイルに保存して終了する]をクリックして、 次の画面で[Okay]をクリックする。
すると、キャラクタ画面(コンソール)に戻るので、 カーソルが[Yes]にあることを確認して[Enter]を押す。 これで設定はすべて終了である。
X Window System は Unix システムにおける標準のウィンドウ・システムである。 通常は、X 上でほとんどすべての作業を行うことになる。 ただし、root でログインして X を起動するのはセキュリティ上まずいので避ける。 Plamo Linux でも、root でログインした場合は X 上の動作を制限するように 設定してある。 環境設定作業が終わったら、今後は一般ユーザで作業し、root の権限が必要な 場合に限って一時的に su コマンドで root に変わるように心がける。また、 root の作業が終わったらすぐに一般ユーザに戻るように癖をつけておく。
hoge:~# passwd Changing password for root Enter the new password (minimum of 5, maximum of 8 characters) Please use a combination of upper and lower case letters and numbers. New password:(パスワードを入力する。表示されない) Bad password: too simple.(簡単過ぎるパスワードだという警告) Warning: weak password (enter it again to use it anyway). New password:(同じパスワードを入力する。表示されない) Re-enter new password:(同じパスワードを入力する。表示されない) Password changed.
adduserコマンドで、 自分専用のユーザを作成する。 ここでは fuga というユーザを作成したことにする。 以下、適当に読み替えて欲しい。
Xの起動
いったんログアウトして、改めて今作成した一般ユーザでログインする。
startx[Enter] とタイプして X Window System を起動する。 X が起動したら、kterm のボタンを押して kterm(仮想端末) を起動する。
通常他のマシンからアーカイブ(複数のファイルを tar で結合して、 さらにほとんどの場合これを圧縮したもの)をコピーしてくるためには ftp がよく使われる。 Web ブラウザがインストールしてあれば、ftp://サーバ名/... としてアクセス すればすむ。しかしインストール時はまだ使えないので、コマンドライン版の ftp クライアントを使う必要がある。以下、簡単に説明する。
※社内からのアクセスの場合、 実際に以下のオペレーションを実行し、 Netscape 関連のアーカイブを取得しておくこと。
server1:~$ ftp server1[Enter] ←サーバ server1 に接続 Connected to server1.hoge.co.jp 220 server1.hoge.co.jp FTP server (Version wu-2.4.2-academ[BETA-18-VR14](1) Wed Feb 17 09:13:08 JST 1999) ready. Name (server1:otmrc): ftp[Enter] ←ユーザ名 ftp でログイン 331 Guest login ok, send your complete e-mail address as password. Password: (何でも良い。表示されない) 230 Guest login ok, access restrictions apply. Remote system type is UNIX. Using binary mode to transfer files. ftp> ls[Enter] ← ls が使える 200 PORT command successful. 150 Opening ASCII mode data connection for /bin/ls. total 9 drwxr-xr-x 8 root wheel 1024 Dec 2 01:37 . drwxr-xr-x 8 root wheel 1024 Dec 2 01:37 .. drwxrwxr-x 2 root wheel 1024 Aug 11 1998 bin drwxrwxr-x 2 root wheel 1024 Aug 11 1998 etc drwxrwxrwx 2 root wheel 1024 Apr 23 00:45 incoming drwxrwxr-x 2 root wheel 1024 Nov 17 1993 lib drwxrwxr-x 19 root wheel 1024 Apr 23 00:45 pub drwxrwxr-x 3 root wheel 1024 Aug 11 1998 usr -rw-r--r-- 1 root root 312 Aug 1 1994 welcome.msg 226 Transfer complete. ftp> cd pub[Enter] ← cd も使える 250 CWD command successful. ftp> ls[Enter] 200 PORT command successful. 150 Opening ASCII mode data connection for /bin/ls. total 19 drwxrwxr-x 19 root wheel 1024 Apr 23 00:45 . drwxr-xr-x 8 root wheel 1024 Dec 2 01:37 .. drwxr-xr-x 2 10002 users 1024 Apr 23 00:40 mozilla 226 Transfer complete. tp> cd mozilla[Enter] 250 CWD command successful. ftp> ls[Enter] 200 PORT command successful. 150 Opening ASCII mode data connection for /bin/ls. total 13369 drwxr-xr-x 2 10002 users 1024 Apr 23 00:40 . drwxrwxr-x 19 root wheel 1024 Apr 23 00:45 .. -rw-r--r-- 1 10002 users 949413 Apr 23 00:40 communicator-ja-v408-export_x86-unknown-linux2_0_tar.gz -rw-r--r-- 1 10002 users 12681182 Apr 23 00:40 communicator-v408-export_x86-unknown-linux2_0_libc5_tar.tar 226 Transfer complete. ftp> mget *[Enter] ← 全ファイルの取得を要求 mget communicator-ja-v408-export_x86-unknown-linux2_0_tar.gz? y[Enter] 200 PORT command successful. 150 Opening BINARY mode data connection for communicator-ja-v408-export_x86-unknown-linux2_0_tar.gz (949413 bytes). 226 Transfer complete. 949413 bytes received in 1.11 secs (8.4e+02 Kbytes/sec) mget communicator-v408-export_x86-unknown-linux2_0_libc5_tar.tar? y[Enter] 200 PORT command successful. 150 Opening BINARY mode data connection for communicator-v408-export_x86-unknown-linux2_0_libc5_tar.tar (12681182 bytes). 226 Transfer complete. 12681182 bytes received in 19.4 secs (6.4e+02 Kbytes/sec) ftp> quit[Enter] ← 終了する 221-You have transferred 13630595 bytes in 2 files. 221-Total traffic for this session was 13634370 bytes in 6 transfers. 221-Thank you for using the FTP service on server1.hoge.co.jp 221 Goodbye.
ちょっと手順が前後するが、シェルについて知っておかないと作業が やりずらいので先に説明する。
シェルとはユーザとカーネルのインターフェースであり、 DOS で言うところの COMMAND.COM、Windows 95/NT で言うところの Exploler.exe にあたる。Linux では 標準シェルとして bash が 採用されている。Unix の常でシェルにも何種類もあり、自分の好みで 変更することができる。 特にソフトウェア開発をする場合はシェルとずっとつきあってゆくことになる。 Unix のシェルは、基本的にはコマンドライン・インターフェースである。 具体的には、ログイン直後のプロンプトもシェルが出しているし、 たった今起動した kterm にもまたシェルのプロンプトが出ている。 kterm とはすなわち、シェルへのインターフェースを提供する 仮想的な画面(仮想端末)である。kterm はメモリなどのリソースが 許す限りいくつでも起動できる。
以下、[Tab]はタブキー、[↑][↓]は上下矢印、[BS]はバックスペース を押すことを意味する。
シェル上では、 コマンドとパラメータをタイプすることによりコマンドを起動する。 ここでは、タイプミスを減らし、 効率的な作業を行うためのテクニックについて紹介する。
特殊キー | 意味 |
---|---|
[Tab] | 入力したコマンドラインの最後のパラメータをファイル名と見なし、
入力した文字列で始まるファイル名を自動的に表示する。
この機能を「ファイル名の補完」と呼んでいる。
タイプミスを減らすために、常にこの機能を使ってファイル名を
指定する習慣をつけておくこと。
特に Unix では長いファイル名を日常的に使用するので、
ファイル名の補完を活用しないと仕事にならない。
|
[↑] | 前回実行したコマンドラインを表示する(ヒストリ機能)。 環境変数 HISTSIZE 個分記憶している。 ログアウトした後も保持しているので次回のログイン後も使える。 |
[↓] | ヒストリを先に進む。戻りすぎたときに使う。 |
[←→] | [Enter]を押す前であれば、 これらのキーでカーソルを動かしてコマンドラインを自由に編集できる。 また、[Ctrl]+a(行頭へ)、[Ctrl]+e(行末へ)などいろいろな ショートカットキーがある。 |
Web ブラウザ(Netscape Communicator --- 以下 NC)は必要に応じて インストールするが、開発時には必須アイテムであろう。 インストールすれば、このページを Linux 上で見ることができるようになる。
インストールに先だって、kterm 上から ps ax|more で kinput2 というプロセス(かな漢字変換フロントエンド)が動いているかどうか確認する。
インストールに必要なアーカイブは、前述の手順により ftp で持ってきてホームディレクトリ('~' == /home/fuga)に置いてあることを 仮定している。また、以下の作業は root 権限で行う。
hoge:~$ su - hoge:~# cd /usr/local/ hoge:/usr/local# mkdir netscape hoge:/usr/local# cd netscape hoge:/usr/local/netscape# tar xvzf ~/communicator-v408-export_x86-unknown-linux2_0_tar.gz (早速シェルの「ファイル名の補完機能」を活用すること!) hoge:/usr/local/netscape# tar xvzf ~/communicator-ja-v408-export_x86-unknown-linux2_0_tar.gz hoge:/usr/local/netscape# cd communicator-v408.x86-unknown-linux2.0
hoge:/usr/local/netscape# ./ns-install[Enter](インストーラの起動)(*1) Location for Communicator software [/usr/local/netscape]:[Enter] Do you wish to continue with the installation in '/usr/local/netscape'? (y/n)[y][Enter] hoge:/usr/local/netscape/communicator-v408.x86-unknown-linux2.0# cd ../netscape-ja[Enter] hoge:/usr/local/netscape/netscape-ja# sh install-ja.sh[Enter] インストールを続けますか? (Y/N):y[Enter] [Install Directory - /usr/local/netscape] :[Enter] kinput2を置き換えますか? (Y/N):y[Enter] [Anser - kinput2-fix4/cmd/kinput2_canna] : [Enter]
(*1) Unix 系の OS では DOS と異なり、カレントディレクトリに実行ファイルが ある場合でも、カレントディレクトリ '.' がパスに含まれていない場合には、 明示的に ./実行ファイル名 としないと実行されない。またセキュリティ 上の理由により、カレントディレクトリをパスに含めることは推奨されない。
シンボリック・リンク を張ることにより、ボタンで起動できるようになる。
# cd /usr/local/bin # ln -s ../netscape/jcommunicator netscape # exit
「ホーム」を押して Web サーバに接続し、ホームページが表示されれば OK。
kterm(漢字ターミナル)
画面下部にある kterm ボタンをクリックすると、kterm という 仮想端末エミュレータが起動する。通常はこの kterm 上ですべての 作業を行う。
kterm のウィンドウ上で[Ctrl]を押しながらマウスの 左/真ん中/右ボタンを押すと、それぞれ設定メニューが表示される。
X-Window の終了
「スタート」−「Exit Fvwm95」−「Quit Fvwm95」でウィンドウ・ マネージャを終了させると、これがフォアグラウンド・プロセスとなって いるので、X 関連のすべてのプロセスが終了し、コンソール画面に戻る。
X の操作方法(実際はウィンドウ・マネージャである Fvwm95-2 の操作方法)は、 Windows 95 に準じて作られているので特に違和感はないと思う。ここでは、95 との違いを述べるにとどめる。
ウィンドウのサイズ変更
カーソルをウィンドウの四隅に持っていくとカーソルの形状が変わる。 この状態でマウスをドラッグする。ウィンドウの「辺」でドラッグすると、 単にウィンドウの移動となる。
範囲指定(コピー)
ペースト
真ん中ボタンをクリック
左と右を同時にクリック。 ただし押すタイミングが違いすぎるととんでもないことになる。 極力(開発の場合なら特に)3ボタンマウスの使用をおすすめしておく。
なお、vi エディタ上でペーストに失敗してぐちゃぐちゃに なってしまった場合、あわてずに[Esc]uでアンドゥーする。