カーネルのオプション設定

  1. カーネルの再構築とは

    次は、インストールしたシステムに対してカーネルを最適化し、 かつ必要なモジュール(デバイスドライバなど)を組み込むために、 カーネルの再構築(リビルド)を行う。

    カーネルの再構築を行うにあたっては、 まずカーネルのコンパイルオプションの設定を行って、 必要なモジュールをシステムに教えてやる必要がある。 実際には、メニュー形式でカーネル構築用の Makefile に入力するパラメータ・ファイル(.config)を更新している。

  2. SCSI ターゲットドライバのソース展開(社内のみ)

    ISA SCSI ボードを使用する場合は、カーネルのオプション設定に先立って、 SCSI ターゲットドライバのソースをカーネルのソースツリーに組み込む。 ISA SCSI ボードを使用しない場合は、この作業は必要ない。

    (ドライバ FD をセットして)
    hostname:~# tar xvf /dev/fd0
    hostname:~# installpkg wdtgt.tgz
    

    (SCSI ターゲットドライバに関する詳細は、 /usr/src/linux/drivers/char/README.wd-target を参照のこと。)

    Linux(Unix) では、このようにコマンドラインを多用する。 バカ正直にそのままタイプしているとタイプミスを起こしやすい。 これを改善するために、 ファイル名の補完機能を活用して欲しい。

  3. カーネル設定用メニューの起動

    hostname:~# rm -rf /lib/modules/*
    hostname:~# cd /usr/src/linux
    hostname:/usr/src/linux# make mrproper(最初の1回のみでよい)
    hostname:/usr/src/linux# make menuconfig
    

    カーネルを構築するための「Main Menu」が表示されるので、以下の項目を 変更する。矢印キーで項目を選択し、スペースキーで組み込み/解除する。 なお、1回スペースキーを押して'M' (動的組み込み)になった場合、'*' (静的組み込み)にしたければ再びスペースキーを押す。 以下のメニューに無い物はデフォルトから変更しないこと。

    'M'(動的組み込み)としたデバイスドライバは、 起動時に /etc/rc/rc.modules スクリプトから呼び出され、 デバイスの存在チェックを行い、存在すれば自分自身をカーネルに組み込む。 '*'(静的組み込み)にすると、 デバイスの有無に関わらず、無条件にカーネルに組み込まれる。

    なお、ここで指定しているオプションは、本来はハードウェアの構成に したがって決定するものであり、実装していないハードウェアにチェック をつけたところでディスクを食う以外には特に意味はない。ただし モジュールでいろいろ組みこんでおけば、新しいボードを刺したり別の ボードに交換したりする場合でも、カーネルの再構築をする必要が なくなるので便利である。ただしむやみに(*)(スタティック組みこみ) を行うとカーネルのサイズが肥大して起動できなくなる場合もあるので、 これは避けること。

    メインメニュー選択 サブメニュー選択 選択内容
    Loadable module support Kernel daemon support '*'
    General Setup Processor Type 適切な CPU を選択
    SCSI support
    (SCSI CD-ROM を
    使用する場合のみ)
    SCSI CD-ROM support 'M'
    SCSI low-level drivers [Select]
    Adaptec AIC7xxx support 'M'
    Network Device Support 3c509/3c579 support 'M'
    3c590/3c900 series (592/595/597/900/905) "Vortex/Boomerang" support 'M'
    PCI Ethernet adapters '*'
    Intel EtherExpressPro PCI 10+/100B/100+ support 'M'
    Other ISA cards '*'
    NE2000/NE1000 ISA support 'M'
    Filesystems
    VFAT (Windows-95) fs support 'M'
    Codepage 437 〜 874 'M'
    NLS ISO 8859-1 〜 8859-9 'M'
    NLS KOI8-R 'M'
    Character devices
    Mouse Support '*'
    PS/2 mouse 'M'
    WD Target Driver
    (社内のみ。 ISA-SCSIのドライバ・ソースを組み込んでいない場合は表示されない)
    '*'

    「Main Menu」に戻ったら「Exit」で抜けて、 「Do you wish to save your new kernel configuration?」に「Yes」で答える。 ただし全く変更をしなかった場合や,変更を無効にした場合は「No」にする。 「Yes」にすると,カーネルのビルド・バージョンが上がり、 次回のメイクでフルコンパイルとなるので時間がかかる。